ウインドリバーのDiabツールチェーンでコンパイルされたコードは、自動車、産業機器、航空宇宙・防衛、ネットワーク業界などで、数十億台のデバイスにデプロイされています。ミッションクリティカルなアプリケーションにとって、安全性は最も重要です。Diab Compilerは安全性が重要視される組込み市場で、パフォーマンスやコードサイズの要件への対応はもちろんのこと、安全で効果的なコードを生成する目的で、お客様から長年にわたり信頼を得ています。Diabツールチェーンは、お客様からのフィードバックや市場分析に基づいて継続的に改良を行っています。本ブログでは、その中から最近の改良についていくつかご紹介します。
Diab Compilerは、リリース当初から最先端の自社技術とイノベーションにより、業界がより新しいアーキテクチャを採用するのに合わせて、新機能の開発や新しいアーキテクチャの追加を早いスピードで実施してきました。35年以上にわたる研究開発により、Diab Compiler 5.9.xは進化を遂げました。Diab Compilerは、組込み市場で最も広く使われている32ビットと64ビットプロセッサーをサポートしています。また業界規制により、自動車および産業機器市場が機能安全規格に準拠したアプリケーション開発に移行し始めたため、コンパイラはアプリケーション開発における重要なツールとして機能安全認証要件を満たすツールチェーンとしての役割が求められるようになりました。Diab Compiler 5.9.xは業界で初めて、ISO 26262とIEC 61508規格に準拠したコンパイラを安全に使用するための認証取得に、アプリケーション開発で使用するコンパイラの機能を選択して、その機能に適合するテストをお客様の環境で実行できるToolchain Qualification Kit（QKit）の提供を開始しました。
ウインドリバーはお客様からのフィードバックをもとに、Diab Compiler 5.9.xの開発と改良を重ね、お客様が認証作業に費やしていた労力を軽減しています。Diabツールチェーンは、お客様にQKitで生成されたテストコードをデプロイし、テストしてもらう代わりに、自動車（ISO 26262）および産業機器（IEC 61508）業界で必要とされるあらゆるASILおよびSILレベルに対してTUV SUDが評価し事前認証を取得したコンパイラへと移行しました。このTUV SUD認証ツールチェーンは、セイフティマニュアルやツール認証レポートなどの必要なドキュメントを提供するだけでなく、業界初の診断用コンパイラを提供しています。コンパイラのような高度で複雑な製品にはバグがあり、組込みアプリケーション用に生成されたコードへの影響を分析する必要があります。Diab Compilerチームは、すべての不具合をウインドリバーのサポートサイトで公開し、不具合が安全性に影響を与えるか、特定のプロセッサアーキテクチャのみが影響を受けるか、これらの潜在的な不具合のトリガーとなるオプションや回避策などを注記し、お客様が影響を分析して必要な対策を講じられるよう支援しています。しかし、お客様が何百万行ものアプリケーションコードからコードのシーケンスを特定したり、トリガーとなる条件を見つけたりするのは難しいため、このような有用なデータがあるにもかかわらず特定の不具合がアプリケーションにどのような影響を及ぼすかを判断することは困難です。
診断用コンパイラのコンセプトは、Diab CompilerチームがTUV認証を取得したコンパイラの一部として提供するイノベーションです。診断用コンパイラは、同じコンパイラ製品をベースとした二次的なコンパイラですが、不具合の修正をおこなうのではなく、コンパイラの不具合を誘発するアプリケーションのコードをピンポイントで特定するための診断メッセージを送ります。重要なのは、コンパイラが不正なコードを生成したり、誤った動作をする原因となるアプリケーションのコードシーケンスを特定することです。お客様は、アプリケーションコードに回避策を適用し、診断用コンパイラで再コンパイルしてトリガー条件が存在しないことを確認することができます。お客様からは、新しく開発したコードがコンパイラの潜在的な不具合を誘発しないように、定期的に診断用コンパイラでビルドしたいという要望がありました。診断用コンパイラは、Diab Compilerのユーザがセーフティクリティカルなアプリケーション開発にかかる時間を節約し、重要な役割を果たすコンセプトの1つとなっています。このコンセプトは、アプリケーションの再評価には高いコストがかかるため、コンパイラの変更や更新が好ましくないプロジェクトで重要な最終期のマイルストーンを経過した後も、生産用コンパイラを変更しないことを支援するものです。
ウインドリバーは、VxWorksプラットフォーム用のオープンソースコンパイラGCCの開発や使用で長年の実績があります。また、Wind River Linux向けのGCCの統合と問題修正も行っています。市場がGCCやLLVMベースのコンパイラなど、より多くのオープンソース製品を活用する方向に移行したため、ウインドリバーも業界の強力なバックアップ、モダンなコードベース、開発の容易さなどから、VxWorks用のメインコンパイラとしてLLVMをデプロイしました。ウインドリバーは、LLVMベースの取り組みをDiab Compilerにも展開し、ARM向けのLLVMベースクロスコンパイラの提供を開始しています。
LLVMベースのDiab Compiler 7.x製品では、Diab Compiler 5.9.xからの移行ガイドを提供しています。GNU binutilsとともにDiabリンカーと他のバイナリユーティリティを同梱することで容易に移行できるため、Diab Compiler 7.xではGCCユーザとDiab Compiler 5.9.xユーザが簡単にアプリケーションを移行することができます。セーフティクリティカルな市場では、LLVMベースのコンパイラを採用し、改良するだけでは十分ではありません。LLVMやClang、コンパイラのランタイムライブラリに存在する不具合を継続的に分析・分類して、その不具合が安全性に影響を与えるかどうかの情報を公開する必要があります。ウインドリバーは、これまでに1万件以上の不具合を分析し、安全性への影響度合いに基づき分類をおこない、その情報をエンドユーザ向けにWind River Support Network上で公開しています。Diab Compiler 7.xでは、機能安全アプリケーション開発を支援する診断用コンパイラを提供します。また、付加価値としてシミュレーション用のQEMUを同梱しているため、パワー不足のターゲットCPU環境でもアプリケーション開発を効率的に行うことができます。
最近Diab Compiler 7.xに、ARM浮動小数点演算関連の例外を計測、チェック、処理する新機能が追加されました。この機能は、お客様のニーズに合わせて複数のオプションを提供し、カスタムハンドラをインストールすることで、これらの特例を上書きして処理できるようにするものです。
Diab Compiler 5.9.xは、TC 4xxやRenesas G4MH2などの新しいTriCoreアーキテクチャをサポートします。さらに新しい命令を活用し、パフォーマンスとサイズ向けのコードを最適化します。
Diab Compiler 5.9.xおよび7.xは、自社技術とオープンソース開発を活用することで、組込み機器に携わるお客様にとって最適な開発環境を提供するほか、コンパイラの診断や安全性に影響を与えるオープンソースの不具合の監視と情報の公開といった革新的な付加価値の高いTUV認定コンパイラを提供します。Diab Compilerは、その技術的な優位性と優れたカスタマーサポートおよびメンテナンスにより、お客様から信頼されています。
Wind River® Simics® is a full-system simulator used by software developers to simulate the hardware of complex electronic systems.
Simics allows on-demand and easy access to any target system, more efficient collaboration between developers, and more efficient and stable automation. With Simics you can adopt new development techniques that are simply not possible with physical hardware, enabling you to deliver better software faster.
Make continuous integration and DevOps possible for embedded development.
Learn More »Make use of a digital twin to test complex systems and to automate tests that would be costly and difficult on physical hardware.
Learn More »Test security vulnerabilities in a safe and controlled environment. Before and after deploying, thoroughly test relevant security scenarios in a virtual lab.
Learn More »
High-performing DevOps teams can deploy 106x faster than their lower-performing peers, according to a 2019 DORA/Google Cloud survey. Watch this to learn how simulation can help you level up your DevOps practices.
Watch Now »Wind River customers have used Simics for their digital twins for more than 20 years. Learn from our experience how to get the most from your digital twin projects.
Watch Now »
By offering a virtual alternative to physical hardware, Simics greatly increases engineering efficiency, lowers development costs, and makes new Agile approaches possible.
From experimenting and testing to configuration and communication—learn the seven key ways Wind River customers are using Simics to improve a host of tasks within their embedded software development processes.
EXPERIMENT
Dream It. Simulate It.
Validate It.
DEBUG
Hunt for bugs at any
time
SHARE
Empower all
collaborators
COMMUNICATE
One team. One view. One
truth.
TEST
& RUN
No need to stand in
line
DEVELOP
Develop on the actual system
from the start
CONFIGURE
Endless configurations with
ease
By using Simics, 80–90% of NASA’s simulation models can be reused for other missions, such as the James Webb Space Telescope, representing tremendous cost savings for NASA.
» Read the storyTo address key challenges in the power generation market around cost-effective computing power and security, Emerson turned to Wind River. The complete suite of Wind River products, from VxWorks to Workbench to Simics, provides a comprehensive and standardized security solution that optimizes Emerson's development process and helps their customers be compliant to government agencies.
“The Wind River partnership is really important to Toshiba and where we’re going in the retail industry and what investments we’re making. They have over 30 years of providing safe and secure intelligent systems, and that allows us to work together to provide solutions that will allow us to create the digital transformation that our clients expect.”
—Fredrik Carlegren, Director of Global Marketing, Toshiba
» Learn how Wind River Linux helped Toshiba create TCx™ SkySee our extensive Simics model library that makes creating a custom model of virtually any hardware system quick and easy.
See Supported Targets
WHITE PAPER
Learn how to adopt DevOps and Continuous Integration practices to meet the growing demands for faster delivery of software features.
WHITE PAPER
Learn how you can more effectively secure your systems with simulation technology.
PRODUCT OVERVIEW
Get an overview of the key features and revolutionary capabilities of Simics.
CAPABILITY SUMMARY
A onesheet introduction describing Simics' key capabilities.
WHITE PAPER
This paper describes the "perfect project" by piecing together real-life experience from Simics customers.
CUSTOMER SUCCESS
Discover how Simics resulted in tremendous cost savings for NASA.
SOLUTION BRIEF
With Simics, organizations can reap the business benefits of progressive development methods to create and deliver better software, faster.
WEB SEMINAR
Hear how simulation technology can provide solutions that save time, lower costs, and yield metrics and high performance.
Wind River Diab Compilerは、安全認証が求められる
ユースケースに最適な、高速かつ厳格なコードの生成を可能に
するコンパイラツールチェーンです。
Diab Compilerの各リリースでは、パフォーマンスとコード密度のさらなる向上を実現するために最適化されています。ウインドリバーは、Diab Compilerの性能が業界トップクラスであることを確実にするため、社内およびお客様から提供されたアプリケーションベンチマークを使用して性能テストを実施しています。
| Diab Compiler 7.x (LLVM) | Diab Compiler 5.9x | 安全性に関連するリリース |
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パフォーマンス、フットプリント、またはその両方に関するソフトウェアをチューニングするための数百の最適化オプションを提供
業界をリードするプロセッサアーキテクチャに対応（PowerPC、Arm、TriCore、RH850、ColdFire、MIPS、Intel）
Clangフロントエンド、Edison Design Groupフロントエンド、LLVM/Dinkumwareライブラリ、ANSI C11およびC++17をサポート
ISO 26262 （ASIL Dまで） 、IEC 61508 （SIL 4まで）に対応
数百万におよぶテストケースと業界標準のテストスイート（POSIX® PSE52準拠のランタイムライブラリ）を用いたテストを実施
単一のアーキテクチャに対する永久ライセンス、または複数アーキテクチャに使用できるユーザー単位の年間サブスクリプションから選択可能
厳格なパフォーマンス基準を満たし、最高品質のサポートを提供していることを示すSCP（Service Capability and Performance）認定を取得しているウインドリバーのカスタマーサポート部門がお客様をサポート。日本語を含む、世界各国の言語に対応
お客様のニーズに応じたサポートを提供
安全関連ソフトウェア開発では、ソフトウェア開発ツールが機能安全に関する規定された基準に適合していることが重要です。Diab Compilerは、TÜV SÜD（テュフズード）から安全関連ソフトウェア開発の認定を受けています。最終製品の安全認証要件を満たす安全アーティファクトの作成により、お客様を支援します。
Diab Compilerは、以下のセーフティクリティカルな市場向けの機能安全認証を取得しています。
単一のツールチェーンを、複数のアーキテクチャで使用することにより効率化を実現します。
Diab Compilerは以下のホストOS （32ビット、64ビット） に対応しています：
ブログ
Diabツールチェーンでコンパイルされたコードは、自動車、産業、航空宇宙・防衛、ネットワーク市場などで、数十億台のデバイスにデプロイされています。
ウエビナー
Diab Compilerがどのようにアプリケーションのパフォーマンスを向上させ、安全かつセキュアで、ディターミニスティックな開発を可能にするかご紹介します。
記事
ソフトウェアコンパイラと、ウインドリバーが組込みシステムのコンパイラの性能を高めるためのアプローチについてご紹介します。
Product Overview
Get an overview of the features and benefits of Diab Compiler.
Blog
Diab toolchain compiled code has been deployed in billions of devices across the automotive, industrial, A&D, and networking markets.
Web Seminar
See how Diab Compiler can increase application performance and enable safe, secure, and deterministic development.
Collins Aerospace and Wind River collaborated on plans to develop the world’s first multi-core design safety certified for avionics on multiple cores.
Multi-core products provide greater processing capability in a smaller footprint, reducing costs associated with size, weight, and power (SWaP) and boosting performance. Collins Aerospace and Wind River® identified a clear need for a higher-performance software virtualization platform with an open systems architecture for avionics. This platform also needed to host new applications, consolidate legacy applications, and be highly deterministic. It needed to be able to support the vision of autonomous and optionally piloted aircraft, as well as achieve the highest levels of avionics safety certification. But no multi-core design had ever been certified to avionics safety standards at the highest level of criticality on multiple cores. Creating one had the potential to fundamentally change the industry.
Wind River and Collins Aerospace collaborated on design, problem solving, and involving certification authorities in their plans to achieve FAA CAST-32A multi-core certification objectives as part of the DO-178C DAL A certification process. To maximize flexibility for future development, they chose VxWorks® 653 Multi-core Edition, which enables multiple guest operating systems to run on a single hardware platform at different levels of safety criticality.
Together, Collins Aerospace and Wind River greatly reduced technical and program certification risks while increasing the available processing resources. Their collaborative approach to achieving DO-178C DAL A certification on multi-core is shared in a detailed white paper, along with technical insights and best practices. In addition, Collins Aerospace and Wind River were selected to present their conference papers at Safety-Critical Systems Symposium (SSS’19), Avionics Expo, and SAE AeroTech Americas.
Join Michel Chabroux, senior director of Product Management, Wind River®, and Woodrow Bellamy III, editor-in-chief of Avionics International, for a discussion of two clashing trends facing avionics system suppliers: legacy code in deployed systems and the engineering world’s generational shift from boomer to millennial.
Chabroux will discuss the resulting changes in avionic software development and explain how a modern RTOS can provide developers with features and tools to create new, advanced software-defined avionics. Watch the full webinar above, or select the chapter of your interest below.
