リアルタイムタスクにとってのリアルタイムデータの必要性

ゲスト投稿：McObject社、COOのChris Mureen氏

ハードリアルタイムシステムは、組込みシステムやソフトリアルタイムシステムと同じ軌道をたどっています。ハードリアルタイムシステムはより精巧なシステムであり、より複雑なデータに対してより多くのことを行うことが求められています。これまでリアルタイムシステムの開発者は、データベース管理をハードリアルタイムタスクと分けるか、リアルタイムでのデータ管理を行わないか、または、独自のリアルタイムデータベース管理を開発する必要がありました。しかし、複雑化するシステムと高度化するデータ管理要件に対応するため、これらの解決策はもはや通用しなくなりました。

データベース管理をリアルタイムタスクから切り離すことは、不必要な複雑さとリスクをもたらし、最終製品の品質を低下させます。リアルタイムのタスクには、リアルタイムデータへのアクセスが必要です。

リアルタイムでデータベース管理を行わないことは、もはや取れる解決策ではなく、また、独自のリアルタイムデータベースシステムを開発することも最適とは言えません。そのため、リアルタイムシステムの開発者は、今のニーズを満たすのに十分なデータ管理機能を実装するだけになっています。データベース管理を分離するのと同様に、新規のコードを追加すると、プロジェクトが複雑になり、リスクが増加します。「必要に足るだけ」の実装では将来の成長の余地がなく、データベースシステムの原理を深く理解していないと、同時実行制御や ACID プロパティへの準拠などの重要な機能が取り残されたり、不適切に実装されたりする可能性があります。

リアルタイムデータベース管理の理想的なソリューションは、リアルタイムオペレーティングシステム、リアルタイムファイルシステム、リアルタイムグラフィックスとHMI、リアルタイムプロトコルスタック、リアルタイムデータ配信サービスと同様です。信頼できるパートナーによって実装、テスト、文書化、サポートされたディターミニスティックな商用オフザシェルフ（COTS）リアルタイムデータベースシステムは、データベース管理をリアルタイムシステムの他の部分から分離することなく、カスタムのコードを取り除き、データベース管理システムの全機能を備えています。これにより、プロジェクトの複雑性とリスクを軽減します。

以上のことがきっかけとなり、eXtremeDB/rtが作られました。

Gartner社によると、2022年までにデータの50％以上がエッジで生成・処理されるようになると言われています。多くの場合、このデータは、精緻な処理、要約・集約、接続の不安定が原因によるアップロードの遅延、デバイスにローカルで保存することが必要となります。リアルタイムデータベースは、このデータストレージを簡素化します。近代の実装は、ファイルシステムのように使用できると同時に、さらなるレベルの分類を提供し、アクセスのロジックを効果的に簡略化します。さらに、近代のシステムで使用されているメタ情報は、ファイルシステムを超えたストレージソリューションの恩恵を受けています。例えば、複雑な構成ベクトル、人工知能 (AI) モデル データ、マップ、モーション情報、薬物投与量などがあります。

エッジでのインテリジェントシステムを推進するVxWorksは、レイテンシとジッターが最小限に抑えられた、ディターミニスティックなプライオリティベースのプリエンプティブ方式のRTOSです。アップグレード可能で将来性のあるアーキテクチャで構築されており、組込みシステムが変化する市場要件やテクノロジーの進歩に迅速に対応できるよう支援します。VxWorksは、C++17、Boost、Rust、Python、pandasなどをサポートする唯一のRTOSであり、エッジに最適化されたOCI準拠のコンテナエンジンも備えています。開発者が最も好む言語、ツール、テクノロジーを使用して、リアルタイムデータベース管理システムなどの最も重要な部分を革新することを可能にします。

人気のプログラミング言語に関する調査で、モダナイズされたVxWorksの利点が明らかに

Graham Morphew

新たな調査により、プログラミング言語の嗜好に関するいくつかの注目すべきトレンドが明らかになりました。

・ Pythonの人気は高まり続けています。Pythonは2023年2月のTIOBE Programming Community Indexで1位と評価されました。また、Binmileによると昨年だけで50％使用量が増加し、Coding Dojoによると雇用者が求職者に求めるプログラミング言語のトップになっています。

・ TIOBE index によると、C++ が Java に代わって、昨年比 5.93%増の 13.94%で第 3 位となりました。

・ Rust は、Stack Overflow によると、開発者の間で「最も愛用されている」プログラミング言語であり、GitHub によると、2 番目に急速に成長しています（年率 50.5%）。

Wind River VxWorksが、Python、Rust、C++17、Boost（C++プロジェクト用のライブラリとテンプレートの人気オープンソースセット）をサポートする初で唯一のRTOSであることは偶然ではありません。ウインドリバーは数年前にこの傾向を予見していました。これらの特定言語の成長と人気の上昇を予測し、VxWorksでこれらの言語をサポートすれば以下の様々な方法でユーザに利益をもたらすと確信していました。

・ これにより、組込みソフトウェア開発者の選択肢を拡張します。プログラマーは、好みの言語で、すぐに独実の方法でイノベーションを起こすことができます。プロジェクト固有の言語の選択をめぐる対立や、学習やトレーニングによる遅れも発生しません。

・ リソース不足を解消します。VxWorksがサポートする言語は、人気があるだけでなく、比較的簡単に習得することが可能です。例えば、Pythonは、組込みソフトウェアの業界での経験があまりない初心者でも非常に使いやすい言語です。つまり、VxWorksは、より多くのユーザが利用できるため、新しいイノベーションをより早く開発し、展開ことが可能です。

・ 利用可能なユースケースの幅が広がります。開発者は、RTOS上に幅広いミッションクリティカルなアプリケーションを迅速に構築し、自動化、AI、MLなどの可能性を追求することができるようになります。例えば、Pythonで書かれ、NumPyやPandasなどのライブラリを使用して、実際のエッジデバイス上のVxWorksでテストされたシンプルなAIスタイルのアルゴリズムを試用することができます。C言語などの従来の組込みソフトウェア言語を使用するのではなく、Pythonを使用することで、クラウドへのデータ送信の意思決定に役立つ、すでに利用可能なAIアルゴリズムを迅速に追加することができます。リアルタイムでLinuxを実行しようとしたり、仮想化モードで並行に実行するよりも、シンプルで柔軟な方法です。

・ 組込みシステム向けの安全なソフトウェア開発を支援します。Rustの安全機能は、組込みプログラミングにとって魅力的な選択肢です。Rustは、所有権と借用のシステムを使ってメモリを安全に管理し、ヌルポインタの再参照、バッファオーバーフロー、データ競合といった一般的なエラーを防止します。Rustの強力な型システムとコンパイル時のチェックにより、信頼性の高いコードを簡単に書くことができます。また、CやC++などの従来の組込みソフトウェアプログラミング言語との相互運用が可能なように設計されています。

同様に重要なのは、これらの言語のサポートによって、VxWorksで既に利用可能な 他のモダナイズされた機能の価値を高めるということです。以下に2つの例をあげます。

・ OCI準拠のコンテナをサポートしているため、開発者はオープンかつ標準ベースのコンテナエンジンにアクセスすることができます。これにより、ITライクなツールや方法を使用してすべてのアプリケーションをパッケージ化してデプロイすることができます。そして、標準的なコンテナツールを使用して、アプリケーションを一般的なコンテナレジストリ（Docker Hub、Amazon ECR、Harborなど）にプッシュし、搭載したVxWorksベースのデバイスからプルして実行することができます。コンテナにより、大規模なソフトウェアフットプリントのモジュール化とスケーリングが容易になるため、企業は、ディタミニズムとパフォーマンスを犠牲にすることなく、新機能の開発とデプロイを加速することができます。

・ DevOpsに対応した環境。VxWorksはWind River Studioに不可欠な要素であり、品質を維持しながらソフトウェアを反復処理するための自動化されたパイプラインアプローチをフルサポートしています。VxWorks の開発はクラウド環境で実行できます。また、VxWorksは、要件からテスト結果までの複雑な関連性を表示、追跡、自動化するために必要な最新のツールとトレーサビリティを提供し、IT/OT統合から最新のDevOps機能への移行を加速させます。

VxWorksの詳細については、https://www.windriver.com/japan/products/vxworks#featuresをご覧ください。

VxWorksのモダナイゼーションは、ウインドリバーの継続的な取り組みであり、デジタルトランスフォーメーションの導入で安定的な追加機能と拡張機能を期待することができます。クラウドベースの開発環境への移行を加速し、開発プロセスの自動化を進め、遠隔地や地理的に分散した開発チーム間のコラボレーションを促進するために、ウインドリバーはお客様とともに革新を続けていきます。

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