セキュアなアビオニクスソフトウェア開発のための最新テクノロジーの活用

March 07, 2023 航空宇宙・防衛

新たなテクノロジーとコラボレーション方法により、アビオニクス分野向け組込みシステムのソフトウェア開発手法が変化しています。そのためアビオニクス分野の企業は、今日のアジャイルな開発アプローチを実践する中で、コードの作成とデプロイ、サイバー犯罪からのアプリケーション保護、機能安全確保の見直しが必要だと感じています。

ウインドリバーは、航空宇宙・防衛分野のリーダーを対象に調査を実施し、大きな変化をもたらす5つの主要なテクノロジーを明らかにしました。

・ コンテナベースのワークロード:分散したアビオニクスソフトウエア開発者による迅速なアップデートやパッチの提供といった課題解決に役立つコンテナベースのワークロード

・ ビジョンシステム :軍用機におけるパイロットの疲労モニタリングなどのミッションクリティカルなアプリケーション用途や、メンテナンス手順の表示などの非ミッションクリティカルなアビオニクスシステム用途の両方に対応したビジョンシステム

・ 5G通信:機体コンポーネント間のデータ通信及びより高速な空対地(ATG)通信連携を可能にする5G通信

・ 自律制御:配達ドローンやカーゴドローンなどの無人航空機を実現するだけでなく、飛行操作の簡便化・効率化を実現する自律制御

・ 人工知能と機械学習:航空電子機器やナビゲーションシステムの状態を監視し、乗客の体験を向上させるのに役立つ人工知能と機械学習。新世代のハードウェアのリリースに伴い、AI処理を機体自体で行うケースが増加傾向にあります

新しい技術を取り入れるための、航空電子機器へのモダンなソフトウェア開発の必要性

ソフトウェアの開発とメンテナンスにおけるモノリシックなウォーターフォールモデルは、こうした新しいテクノロジーを取り組むには適していません。効果を最大化すると同時に、新しい効率的なコラボレーション方法を望む企業は、IT分野で長く根付いているプロセスやツールを取り入れ始めています。

・ DevSecOpsモデル:開発プロセスの各段階にセキュリティテストを組込み、DevSecOpsフレームワークを導入することで、企業は迅速なビルドとリリースサイクルに対応しながら、高度なサイバー脅威により効果的に対応できるようになります。

・ 継続的インテグレーション/継続的デプロイメント(CI/CD)パイプライン:航空電子機器における機能的なCI/CDパイプラインの構築は、シミュレーション技術の使用から大きな恩恵を受けています。それは、開発者が実機や高価な航空電子機器のハードウェアにアクセスすることなく、アイデアをテストして検証することができるからです。シミュレーション環境でのテストにより、開発者はCI/CDパイプラインによりテスト済みコードを作成し、チームがオンデマンドでデプロイできるように準備することができます。

・ 仮想化技術:チップベンダーは、クラウドベースの開発手法を取り入れながら、レガシーアプリケーションにも対応したソフトウェアデファインド環境を構築できるシステムオンチップ(SOC)を提供しています。

・ コンテナ化されたアプリケーション:Cloud Native Computing Foundation の Open Container Initiative のようなオープンソースのコンテナ仕様により、開発者は文書化されたプロセス、方法、ツールを使用してアプリケーションをパッケージ化し、アプリケーションのポータビリティを最大限に高め、ベンダーロックインを回避することができます。

・ 人工知能(AI)とデータのフィードバックループ:AIは航空電子機器の主流になりつつあり、より多くのインテリジェンスと自律的なシステムを可能にすると同時に、乗務員の飛行操作の複雑さを軽減するのに役立っています。AIを最大限に活用するためには、データを収集することが開発プロセスの一部であることが求められます。アプリケーションデータ、システムデータ、オペレーションデータ、ユーザデータを収集・統合することで、開発者はAIを革新的に改善するための手段を得ることができ、また新しい有利なビジネスモデルへの道を開くことができます。

最新のソフトウェア開発と機能的なセキュリティの両立

どのような新しいテクノロジーやソフトウェア開発プロセスを採用するにしても、安全性・セキュリティを確保することが最優先であることは言うまでもありません。それは、DO-178C、DO-355A/ED-204A、DO-356A/ED-203Aなどに規定されたガイドラインを厳守することを意味します。開発者やアビオニクスの専門家が、機能安全とセキュリティの高い基準を維持しながら最新技術を活用する方法は、当社の最新ホワイトペーパー「Avionics in 2023: Using Modern Technology for Secure and Certified Software Development」で取り上げています。このホワイトペーパーでは、最近実施した調査の概要と、航空電子機器の開発者の効率化に役立つ戦略や方法について詳しく解説していますのでぜひご覧ください。