Jul 25, 2023 自動車

ウインドリバーで実現するソフトウェア定義型車両:Part 1

ウインドリバー最高製品責任者アビジット・シンハへのQ&A

現在、業界を問わずあらゆるものがソフトウェアで定義される時代を迎えています。自動車業界は、多数のソフトウェアシステムの開発、統合、管理の複雑化によってもたらされる過去100年以上で最大の革命の真っ只中にあります。これにより、OEM だけでなく、すべてを統合するプレーヤーのエコシステム全体にとっても、イノベーション、コラボレーション、収益性への扉が開かれます。

私たちがさらにコネクテッドで自律的な未来に向かって進む中、自動車の設計は高品質のエクスペリエンスとユーザの希望にこたえることを必要としており、ソフトウェアはこれを実現する中核となります。

今回、ウインドリバーの最高製品責任者であるアビジット・シンハにインタビューし、業界に対するウインドリバーの見解と、ウインドリバーのテクノロジーがソフトウェア定義車両をどのように実現するかについて聞きました。

自動車業界の現状、課題、ビジネスチャンスについてどのようにお考えですか?

自動車業界において、消費者に届けるべき価値がソフトウェアによって定義されるようになってきています。自動車OEMは、ビジネス、技術、文化の進化の真っただ中にあり、業界史上最も大きな変革を迎えています。この多様な変革を「テスラ化」と呼ぶ人もいます。テスラは、次世代のソフトウェア定義型車両に対する市場/消費者の期待をリセットする原動力となったからです。こうした新たな期待は、コネクティビティ、電動化、自律性、シェアードモビリティといったメガトレンドによってさらに高まっています。自動車の購入者は、ユーザ体験の一部として、コネクテッド機能、豊富なインフォテインメント、デジタルサービスへのアクセス、ソフトウェアアップデートをますます優先するようになっています。これらすべてが、業界に大きな変革をもたらしているのです。

自動車メーカーは、こうしたメガトレンド主導の取り組みを推進するために、数十億ドル規模の多額の資本を投資し続けています。

今後、変革と消費者価値のほとんどは、ソフトウェア定義型車両によるソフトウェアイノベーションにかかっています。ソフトウェアの専門知識を構築することは、自動車OEM だけでなく、Tier 1、ハードウェアおよびソフトウェアのサプライヤ、その他の機能プロバイダなどのエコシステムプレーヤにとっても非常に重要です。ソフトウェアのイノベーションを原動力とするいくつかのスタートアップ企業は、従来のOEMよりもはるかに速く進歩しています。

業界がソフトウェアの専門知識を構築する中での主なニーズは、ソフトウェアを迅速にビルドする地理的に分散したチームをサポートするために、クラウドネイティブなエッジからクラウドまでのソフトウェアプラットフォームを実現することです。

Wind River Studioは、自動車のバリューチェーン全体にわたって、ソフトウェア定義のインテリジェントカーの構築を可能にします。 Wind River Studio は、ミッションクリティカルなインテリジェントシステムの開発、デプロイ、運用、サービスを行うための包括的な製品です。また、リアルタイムかつディタミニスティックなパフォーマンスを必要とするセーフティクリティカルなアプリケーションをサポートするソフトウェアやツールと統合されているため、重要度が異なるアプリケーションが混在する環境に対応できます。 Wind River Studio は、ソフトウェア、テクノロジー、ツール、プロセスを単一の協調的で透明性のある安全なプラットフォームに統合し、ライフサイクル全体にわたって次世代コネクテッドカーのソフトウェアシステムを構築および維持できるように支援します。

これにより、自動車メーカーはソフトウェアを制御できるようになり、時間をかけて車両を改善し、差別化された機能を提供できるようになります。さらに、市場投入までの時間を短縮し、エンジニアリングコストを削減し、車両のライフサイクル全体にわたるソフトウェアの品質を向上させることができます。

自動車業界が固定機能の物理的な電子制御ユニット (ECU) から集中型のコンピューティングコントローラへと車両アーキテクチャを進化させる中、根本的な変化にどのように対応したらいいのでしょうか?

OEMが機能固有の ECU から、より集中化されたコンピューティングアーキテクチャへ移行していることは事実です。

テスラが市場に大きな影響を与える前から、OEM はソフトウェア定義型車両への移行を始めていたのでしょうか?

自動車メーカーは、機能別ECUと機能別ソフトウェアを長年にわたって開発してきました。ブレーキ、ステアリング、ワイパー、自動ウィンドウ、インフォテインメントシステムなどの車両ソフトウェアを網羅するために、プログラムや車両プラットフォームごとに大規模なチームと複数のサプライヤーを抱えてきました。自動車メーカーは長い間、ソフトウェアを構築し、統合してきたのです。

新しいのは、ソフトウェアをアジャイルにクラウド上でクラウドスピードで開発し、それをOTA技術でリアルタイムに車両にデプロイするという方法です。これは、テスラが構築して市場に投入したことで、自動車業界がもともと行っていたことではありませんでした。しかし今となっては、スピードの変化とクラウド主導の開発が自動車 OEM のモデルとなっています。

ソフトウェア定義型車両を推進する 3 つの基本的な変化があります。それは、車載アーキテクチャ、機能固有の ECU から集中コンピューティングへの移行、およびOTAによるクラウド環境を利用したデプロイメントです。

ソフトウェアですべてが定義される新しい時代に向けて、自動車業界は何に投資を移行しているのでしょうか?

以前は、自動車 OEM は数百人のエンジニアからなるチームであり、また、数百人、場合によっては数千人のエンジニアを抱えるサプライヤも複数ありました。現在は数千人のエンジニアからなるチームを構築しています。

これは非常に大きな投資です。何千人ものエンジニアを雇用し、サポートするために、何十億ドルも投資しているのです。その何千人ものエンジニアに必要な開発ツールに目を向けると、課題は、彼らがどのように協力し、どのようにソフトウェアを構築し、どのようにまとめていくかを決定することです。これは非常に難しい課題です。

何千人ものエンジニアがうまく連携し、ソフトウェアを市場に投入するまでの時間を短縮するためのツールが必要になります。自動車業界は、エンジニアが共同作業を行い、生産性を高めることができるウインドリバーのソフトウェアが必要になるでしょう。

ウインドリバーは、ここに将来的に大きなチャンスがあると考えています。自動車メーカーが数百人から数千人のエンジニアを抱えるようになれば、ウインドリバーが提供するプラットフォームやツールが必要になるからです。


次回のブログでは、自動車メーカーを支援し、ソフトウェア定義型車両を進化させる上で、ウインドリバーのテクノロジーがどのように重要かつ差別化された役割を果たしているかをお話しします。