Aug 8, 2023 自動車

ウインドリバーで実現するソフトウェア定義型車両:Part 2

ウインドリバー最高製品責任者アビジット・シンハへのQ&A

前回のブログでは、自動車業界の展望と主な課題、トレンドについて話ましたが、今回は、ソフトウェア定義型車両を推進するテクノロジーに焦点を当てていきたいと思います。

Wind River Studioとウインドリバーのエッジ製品は、自動車関連企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?

Wind River Studioは、コードの作成からデプロイ、そして車両の安全性確保に至るまで、ライフサイクル全体に対応する総合的なソリューションです。Wind River Studio は、クラウド上でソフトウェアを構築し、それを無線で車両にデプロイすることを可能にします。

ウインドリバーは、必要なすべての分野で基本的な強みを持っています。自動車メーカーは、Wind River Studioのハードウェアを仮想化するWind River Studio Hypervisorを使用できます。また、ウインドリバーのリアルタイムOS VxWorksWind River Linuxとを使用することで、リアルタイムOS上で動作するセーフティクリティカルなシステムと、オープンソース基盤上で動作する非セーフティクリティカルシステムのクリティカリティが混在した環境を構築することができます。これにより、車両のクラウドに接続された1つのコンピュートプラットフォームにより、ライフタイムを通じてアップデートが可能になります。

ウインドバーは、最新のDevSecOps機能とプラクティスを使用してクラウドネイティブなソフトウェア開発をサポートする機能をクラウドに組み込んでいます。その結果、Teir1やOEMの地理的に分散したエンジニアリングチームがソフトウェア定義型車両を構築し、ライフサイクルを通じてソフトウェア開発を管理できるようにするためのエンドツーエンドのシステムが実現します。

DevSecOpsフレームワークには、開発、デプロイ、運用という3つの重要なコンポーネントがあります。開発分野では、自動車OEMとTier 1企業は、ソフトウェアを構築するためのソフトウェア主導のパイプラインやアプリケーションとプラットフォームを構築するためのソフトウェア開発キット、および、シリコンとハードウェアの機能をシミュレートするためのハードウェアシミュレータを使用することができます。これにより、クラウド上でのソフトウェアの開発とテストをより迅速に行うことが可能になります。

そしてデプロイの分野では、企業がソフトウェアを無線でアップデートし、車両に搭載し、車内に多くのソフトウェアコンポーネントを構築する能力を提供します。

そして最後に運用についてです。車両はライフサイクルに渡って運用されるものですが、同時に自動車OEMは、常に車両の状態を確認できる車両ツインをクラウド上に持つことができます。OEMは、クラウド上のこのデジタルツインを使用して、車両を分析し、新しいソフトウェアをテストした上で車両にデプロイすることができます。

多くのOEMは、独自のOSやミドルウェアのソフトウェアコンポーネントを開発しています。これは、ウインドリバーのソフトウェアポートフォリオがもたらすものと矛盾するのでしょうか?

OEMは、ソフトウェアのコンピテンシー、能力、プラットフォームを自ら構築しています。しかし、OEMが行っていることと、ウインドリバーの市場へのアプローチには違いがあります。ソフトウェアにはハードウェア、プラットフォーム、アプリケーションなど多くのレイヤがあり、サービスも含まれる場合があります。

上記でのべたように、一部のOEMは自社でオペレーティングシステムとアプリケーションを構築しています。そして彼らが必要としているのは、アプリケーションを開発するためのツールなのです。

ウインドリバーが構築しているのは、自動車開発者が自動車に搭載されるソフトウェア・オペレーティング・システムやアプリケーションを構築するためのツールとプラットフォームです。私たちは競合しているわけでも、対立しているわけでもありません。ウインドリバーは、開発者が必要としているソフトウェア開発ができるよう支援しているのです。

ウインドリバーの優位性、競争力、差別化要因は何ですか?

まず市場勢力図について考えてみましょう。まず、自動車業界向けのソフトウェアやツールを長い間開発してきた既存のプレーヤがいます。そして、自動車OEMに対応するために新たに登場したソフトウェア開発新興企業の競合がいます。

伝統的なソフトウェアサプライヤは、クラウド主導の開発モデルを採用していないため、ウォーターフォールや古いツールといった伝統的な手法で開発しています。ウインドリバーのアドバンテージは、クラウド主導で、クラウドネイティブな手法を使ってソフトウェアを構築していることです。

新興企業については、最新のソフトウェア開発手法を使ってはいるものの、ミッションクリティカルなシステム構築の実績を有していません。

ウインドリバーは40年以上の歴史を持ち、その間、様々な革新をもたらしてきました。ウインドリバーは、数十年にわたって自律システム、ドローン、輸送システム、アビオニクスシステム、航空機など、止まることが許されないシステムを含め、セーフティクリティカル、高可用性、高信頼性のシステムを構築してきました。数十年にわたり、VxWorksは数え切れないほどの宇宙開発プログラムに採用され、火星探査機、James Webb宇宙望遠鏡など、数多くの重要な宇宙ミッションの基盤となるコンピューティングリソースとオートメーションを支援しています。これらは、コネクテッドインテリジェントシステムを実現するために、ウインドリバーのテクノロジーがどのように活用されているかを示すほんの一例です。ウインドリバーは、安全でセキュアで信頼性の高いミッションクリティカルなシステムのためのソフトウェアを構築するリーダーシップと能力を実証しています。

これからの未来に向けて、重要な戦略は何でしょうか?

ウインドリバーのビジョンは、お客様が未来のマシンエコノミーのためにインテリジェントシステムの構築を実現することです。世界にはより多くのインテリジェントシステムが普及し、マシンが経済(エコノミー)においてさらに大きな役割を担うようになると私たちは信じています。人間とマシンが協力してさまざまなシナリオを実現し、生活をより安全で安心なものにしていくでしょう。

ウインドリバーは、インテリジェントシステムとAIのためのクラウドベースのテクノロジーソフトウェアに重点的に投資し、お客様がウインドリバーのツールを使って未来のインテリジェントシステムを構築する支援をいたします。