Aug 1, 2023 自動車

ソフトウェア定義型車両における統合と仮想化の重要性

この数年で、携帯電話はスマートフォンになり、家庭はスマートホームになり、やがて私たちは皆、スマートカーに乗るようになるでしょう。より「インテリジェント」なデバイスへと向かうこの傾向は、ワイヤレス通信、ハードウェアの進歩、ソフトウェアの開発と提供における進歩の結果であり、製造企業はより多くの自動化とリアルタイムのインテリジェンスを小さな空間に搭載できるようになりました。今日の自動車は、電気自動車、自律走行、コネクテッドカー技術の台頭により、純粋な機械的輸送手段から、洗練されたソフトウェア定義の自動車へと急速に進化しています。そしてこれは、ソフトウェア企業が未来の自動車の設計、開発、運用の重要な役割を担うことを意味しています。

自動車愛好家なら誰でも知っていますが、自動車は相互に依存する(独立して製造されている場合もある)部品からなる複雑なシステムです。自動車内のすべての固定機能コンポーネントは、製造、サプライチェーン、メンテナンス/修理、自動車ソフトウェアに複雑さをもたらし、これらすべてがイノベーションへの障壁となっています。自動車には、たとえば、エンジン管理、ブレーキ、インフォテインメントなどに関連する特定の機能の制御を担う電子制御ユニット (ECU) が数百個ある場合があります。複雑さを最小限に抑え、ソフトウェア定義型車両の進化を加速させるため、自動車業界は(ハードウェア企業やソフトウェア企業と連携して)、こうした個別のECUを少数の車載ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)システムに統合し始めています。

自動車の進化の鍵は統合にある

電気エンジン、先進運転支援システム(ADAS)、そしてますます高度化するインフォテインメントシステムはすべて、円滑かつ確実に作動するために大量のコンピューティング能力を必要とします。同時に、これらのシステムは、リアルタイムの道路情報、通信、安全性、ソフトウェア更新のために絶えず接続されている必要があります。このような技術をすべて高性能な自動車に搭載するには、自動車メーカーはハードウェア部品からそれらをつなぐワイヤーハーネスに至るまで、車の設計方法を見直さなければなりません。Aptiv のスマートビークルアーキテクチャとウインドリバーのソフトウェアソリューションは、テクノロジー企業が自動車業界と協力して将来のスマートカー設計の向上を支援していることを示すいい例です。

統合は、将来のスマートカーを構築するための鍵となります。自動車がより少ないコンポーネントでより多くの機能を発揮できるようになるのです。コンポーネントを統合する1つの方法として、仮想化があります。仮想化により、複数のソフトウェアアプリケーションを許可することで必要な個別のオンボードハードウェアの量が削減され、さまざまな車載サブシステムを個別に管理しながら単一の HPC システム上で実行できるようになります。仮想化アーキテクチャでは重要度が異なる混在した環境のシステムのサポートも必要です。これにより、自動運転機能などの安全性が重要なアプリケーションが分離され、重要でないソフトウェアモジュールや潜在的に脆弱なソフトウェアモジュールから保護されます。

イノベーションへの道を開く仮想化


図1: Wind River Helix Virtualization Platform、Type 1ハイパーバイザ

安全認証を取得したリアルタイムオペレーティングシステムであるWind River VxWorksWind River LinuxWind River Helix Virtualization Platformは、飛行機、電車、そして自動車などのミッションクリティカルなアプリケーションにおける課題を解決するために構築されています。上図で示したように、Wind River Helix Virtualization Platformは、安全認証を取得したマルチコア仮想化プラットフォームを提供し、重要度が異なるアプリケーションが混在するシステムをサポートします。また、自動車メーカーは、VxWorks上でADASアプリケーションを安全にデプロイすると同時に、Wind River Linux、Android、その他のオペレーティングシステム上でインフォテインメントアプリケーションを実行することができます。さらに重要なことは、性能やセキュリティを犠牲にすることなく、これらすべてのアプリケーションを同じHPCハードウェア上で実行できることです。

ウインドリバーとAptivは、共通のアーキテクチャを中心に両社のソリューションを事前に統合して検証し、お客様の開発、デプロイ、運用の迅速化を支援するために協業しています。

次世代のソフトウェア定義型車両のプラットフォームは、業界に革命を起こそうとしています。ハードウェアの統合、仮想化、混在したクリティカルティにより、自動車はより接続され、効率的でインテリジェントになってきています。今後のブログでは、継続的インテグレーション/デリバリー(CI/CD)、クラウドネイティブなシステムシミュレーション、テストと検証のアプローチ、セキュリティ規制と認証、コンテナ化、低遅延5G接続、レベル3 ADAS、その他のトレンドが業界全体のイノベーションをどのように促進しているかについてご紹介します。

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